このページをご覧になっている受験生の皆様、こんばんは。

前回は中小企業診断士試験のための勉強会の存在について、概要の説明と、運営形態別の参加意義について筆者なりにご説明しました。
再掲すると、「合格者主催の勉強会は貴重な情報を得られる場として有効活用すべきで、受験生同士で運営する勉強会は長時間ガッツリ取り組める空間として、またうかつにサボれない切磋琢磨のための場として、それぞれの目的をはっきりさせて参加すべき」という感じでした。
本日は、そんなメリットのある勉強会ですが、参加するにあたって、また参加するかどうかを決めるにあたって注意すべき点を筆者の経験から解説したいと思います。
目次
1.ベテラン受験生の存在には注意!
確かに中小企業診断士の試験は国家試験の中でも難しい部類に入り、筆者の周りでも2~3年の期間をかけて合格した方が多い印象ですが、中には受験生活が長期化する方もいらっしゃいます。その中でも、あくまで資格取得のための手段である受験勉強が、長期化する受験生活の中で目的に変化してしまった「プロ受験生」ともいうべき存在がいます。
「診断士試験になかなか通らない」とはほぼイコール「2次筆記試験の通過のコツが掴めない」ということであり、2次試験は色々な中小企業の悩みの「事例」を題材にしているため、長期受験生=多年度受験生は、それら出題の題材である「事例マニア」みたいな凝り方をする人が出てくるのです。
具体的には、過去問を解くだけでは飽き足らず、その事例のモデル企業を調べて、現地訪問までしてしまうレベルの人もいると聞きます。いわゆる「楽しくなっちゃった人たち」ですね。そして、勉強会に積極的に参加して、その勉強会の「ヌシ」のような存在になったりします。(※特定の個人をモデルにしているわけではありません。)
その探究心の強さは、合格後の診断士活動で役立つ可能性もたしかにあります。が、改めて言いますが、受験はあくまで目的ではなくて手段です。
いかに効率よく点数を獲得して試験に通るか、という視点では、彼らの努力は方向性が間違っているような気がしてなりません。
そのように事例問題そのものに思い入れが強くなってしまった受験生が、(悪気はないにしろ)勉強会に参加したての初学者に、親切心からいろいろと世話を焼いてくれることもあるでしょう。しかし、ストレート合格を目指す初学者なら、あくまでアドバイスを尊重するのは合格者からのものに限るべきだと筆者は考えます。ベテランさんからの親切心には感謝を示しつつ、アドバイスには「一つの意見」ぐらいの重み付けで捉えるべきです。
2.受験生にとって「飲み会」って必要???
これは勉強会に限らず、予備校のクラスなどでも積極的に交流を呼びかけるタイプの人がいると、割りと高い頻度で発生します。
こってり脳味噌に汗をかいて勉強した後に、同好の士から「じゃあ、一杯やりますか?」なんて誘われたら、嬉しくてついついビールも進んでしまいますよね。でもこれ、行くべきなんでしょうか?
否。と筆者は強く思います。
理由は2つ。1つ目は、飲み会に誘われて自分の勉強が十分に進んでいなくてもホイホイ付き合ってしまうような気持ちの弱さではそもそも合格しないから。そして、もう1つの理由は、勉強会で新しく知識を仕入れたフレッシュな状態の脳味噌にアルコールの刺激を与えて記憶を飛ばすなんて、もったいないからです。すぐに仕入れた知識の定着に努めるべきです。実は勉強会の後の時間ってゴールデンタイムなんですよ。
筆者の身の回りの受験生でも、勉強会や予備校の授業が終わったらサッサと帰る人の方がストレート合格をしていた比率は高かったですし、飲み会なりで交流を深めることに積極的だった方は残念ながら受験生活が長期化したり、コツが掴めないまま結局診断士試験から離脱してしまった方もいました。筆者も何度かお誘いを受けましたが、全てお断り、または、最初の15分だけ参加し、乾杯してから退出させていただいたりしていました。
もう一つ深掘りすると、上記で解説したベテランの受験生は飲み会に結構出ているかもしれませんが、彼らは1次試験には通っているはずです。知識の詰め込みである程度攻略できる1次試験は一度通ってしまえば、その後何度も通ることは割とできます。2次試験は単純な勉強時間の積み上げだけでは攻略できない性質を持っているので、1次の詰め込みに時間をかけなければいけない初学者と、1次はすでにある程度攻略していて、2次の勘所の把握に難儀している段階のベテラン受験生では時間の使い方が異なると言って良いでしょう。
だから、初学者は飲みに行ってる場合ではないのです。1年間だけ孤独を飼いならしましょう。
3.そもそも勉強会は必ず参加しなければいけないものなのか?
実はいちばん大事な論点はここなんです。
多くの勉強会は都心というか、中心部で行われるでしょう。その会場まで行く体力・資金・そしてなにより時間、それらの投入リソースと、得られる成果がバランスしなければ、別の方法を駆使して同じ目的にたどり着く方が合格へ近づけるとも言えます。
一度はお試しの意味で、ネットなどで開催概要を調べて、勉強会に顔を出してみても良いでしょう。その上で、自分の心に問いかけてみてください。
「そこで得られる経験値や知識は、会場までの往復にかかる時間に見合ったものなのか?」
「同じ目的を達成できる別の方法があるとして、勉強会に参加するのとどっちが時間対効率が良いだろうか?」
その自分への問に対して、納得の行く答えが出たら、勉強会に参加するなり、例えばSkypeなどのITを駆使して同好の士と遠隔でのディスカッションなどを計画しても良いでしょう。以前の記事でも触れましたが、ある程度社会人経験を積んできた方ならば、「同じ目的を達成できる代替手段」を要求される場面は本業のお仕事で何度となくあったはずです。「勉強会の開催地が遠すぎて、参加したくても出来ない」ですとか「子供から目が離せないので、休日はあまり外出できない」といった個々の環境の中で取りうる手段を駆使して、諦めずやってみましょう。
本日のまとめ
勉強会の参加に関しての注意点として筆者からは「ベテランの受験生からのアドバイスは程々に受け止め、飲み会に誘われた場合、心を鬼にして自分の復習時間の確保を優先すべき。そして、そもそも勉強会参加が最善の手段かどうか、自分の考え方や学習環境に照らし合わせ、参加するかどうかを決めましょう」と解説いたしました。
ただし、全精力を注ぎ込んだ1次試験終了後に予備校の同窓生と飲み会をしましたが、そこで飲んだビールは腰が抜けるほど美味かったのを覚えています。要はメリハリなんですね。
付録 主要な勉強会の一覧
タキプロ
合格1年目の診断士(登録前も可)が主催する勉強会です。
ブログ、勉強会、セミナーなどが提供され、スタッフの人数も多いです。
全国に支部があり、10年以上の運営歴があるため、合格後の人脈作りにも役立つでしょう。
ねくすと勉強会
東京都千代田区の区民館を拠点に毎週水曜日夜に活動している勉強会です。
定例の勉強会のほかに、融資による土日の勉強会や、メーリングリストによる情報交換などを行っているようです。
学習方法やその内容については参加者による話し合いによって決定する仕組みとのことで、参加者の自主性が必要かもしれません。
弱小企業診断士勉強会
1992年創設という歴史のある勉強会。
秋葉原・上野の会議室を中心に活動しています。
毎週土曜日10時~17時に勉強会を開催しているとのことで、長時間がっつり取り組みたい人には良さそうです。ストレート組(1次対策からスタートするグループ)と二次組(2次対策に専念するグループ)に分けて勉強を進めていく仕組みのようです。
歴史があり、ノウハウが確立している感じですね。
経士会
あとは、関西で行われている経士会などです。経士会では試験対策にとどまらず、経営者と士業の交流なども手掛けられているみたい(むしろそっちが母体)です。
他にも、団体ではなく、診断士個人で勉強会を開催している例もありますので、つてをたどって参加してみるのも良いと思います。そのような勉強会の場合、少人数でつながりが深くなり、合格後の付き合いも濃密になると聞きます。
本日はここまでです。最後までお読みいただきありがとうございました。
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