前回の記事では診断士試験の模試について筆者なりにどういう意味付けで臨むかについてご紹介しました。ちょっとだけ復習すると、模試の出題内容の的中には大きく期待せず、本試験の環境を疑似的に体験することで、現場でどのようなアクシデントが起きるか、自分のコンディション(体調・メンタル)がどのように変化するかをあらかじめ知っておいて対策の手掛かりにする。まあ心構えみたいなものですね。
今回はそのように本試験に役立つシミュレーションとしての模試をどのように活用するのかについての具体的なノウハウや、模試を通して得た知見から本番で実際にやったことなどをご紹介したいと思います。
目次
- 1 どのような目線を持っておくと良いか
- 1.1 頭が十分に冴えていて、思考に淀みがない状態で臨む
- 1.2 長時間の試験に耐えうる体調を備えて臨む=後半で息切れしない≒実態としては息切れせざるを得ないが、その段階でどのぐらいパフォーマンスが落ちるのかを把握している
- 1.3 筆記具や計算機やトイレなど、本試験で接する物理的な資源が不足なく利用できる状態で臨む
- 1.4 試験会場への道筋、トイレの場所と休憩時間での込み具合
- 1.5 筆記具の使用感(使いやすさ)とその良しあしが試験の出来に与える影響度
- 1.6 体力の消耗度合いによってどのくらい問題文を読むスピードが落ちるか、誤読やケアレスミスが発生しやすくなるか
- 1.7 周りの受験生の挙動(貧乏ゆすり、落ちた消しゴムを拾う、書く動作によっての机の揺れ)が自分に与える影響
- 1.8 冷暖房などによる自分のコンディションへの影響
- 2 筆者の講じた対策
- 3 ただし、やりすぎには注意
どのような目線を持っておくと良いか
「本番で最大限の力を発揮する」とはもっと具体的に要素分解するとどのような意味になるでしょうか?
頭が十分に冴えていて、思考に淀みがない状態で臨む
長時間の試験に耐えうる体調を備えて臨む=後半で息切れしない≒実態としては息切れせざるを得ないが、その段階でどのぐらいパフォーマンスが落ちるのかを把握している
筆記具や計算機やトイレなど、本試験で接する物理的な資源が不足なく利用できる状態で臨む
などなどです。「メンタル」「フィジカル」「インフラ」ってところでしょうか。それぞれが完全に切り分けられるものでなく、フィジカルが悪化するとメンタルの悪化を引き起こしますし、インフラが不十分ならやはりメンタルやフィジカルが悪化する という具合に関連しあっているとも言えますね。
これらを踏まえ、例えば以下のようなチェックポイントを準備して、模擬試験に臨んではいかがでしょうか。
試験会場への道筋、トイレの場所と休憩時間での込み具合
あくまで模試会場は本試験の会場とは違いますので、疑似的な体験ということになりますが、試験慣れしていない人はこの辺を気を付けておいた方が良いと思います。
筆記具の使用感(使いやすさ)とその良しあしが試験の出来に与える影響度
体力の消耗度合いによってどのくらい問題文を読むスピードが落ちるか、誤読やケアレスミスが発生しやすくなるか
周りの受験生の挙動(貧乏ゆすり、落ちた消しゴムを拾う、書く動作によっての机の揺れ)が自分に与える影響
冷暖房などによる自分のコンディションへの影響
他にもあるかもしれませんが、こんなところでしょう。
ただ漫然と模試を受けるのではなく、対策を立てる為の練習試合のような意味合いでいろいろ気づいたことをメモしておきましょう。
筆者の講じた対策
おそらく普通の人よりちょっと神経質な筆者はコンディションの悪化が点数に影響しやすいタイプです。
模試で得られた知見を基にして、以下のような対策をしました。
受験票が届いたら、試験会場までの道筋を下見しておく(ただし、会場内には入れません)
道に迷ったら動揺するので、結果として間に合ったとしても当然にパフォーマンスはガタ落ちします。筆者は2回やっておきました。
替えの下着を持っていく
1次試験は夏に行われるので、汗をかくわけです。地味に気になるんですよね。
自分の一番使いやすい筆記具を2セット持っていく
落とした時に備えての予備ですね。もちろん落としてしまった時には挙手して試験管に申し出れば、拾ってもらえます。
とにかく各科目の終了後に必ずトイレに行っておく
行きたくなくても行っておきます。
長袖のシャツやカーディガンなど羽織れるものを持っていく
夏だから大丈夫となめてかかっていると痛い目にあいます。冷房の吹き出しが直撃する場所の席になるかもしれないのです。
1日目の3科目目の企業経営理論が終わった後の休憩時間にチョコを食べる
血糖値を上げたいわけです。まあ気休めかもしれませんが。
1日目、2日目とも午後の科目では終了前の見直しを一層強化する
疲れてくるとケアレスミスが出やすくなります。だから午前より午後の方が危ないわけです。
試験前日にはマッサージを受けておく
その他、よく眠れるように対策をしておきました。実際の得点上昇への貢献はどこまであったのかはわかりませんが、「そこまでやったのだからベストパフォーマンスが出るだろう」というメンタルのコンディション作りの一環としてやっておきました。
ただし、やりすぎには注意
この手の対策は気にすればキリがなく、どんどんやりたいことが増えてきてしまうでしょう。
しかし、あくまで本質というか試験合格に必要な一番大事なことは勉強の量と質です。今回挙げたような対策はそのような基礎的な勉強量を乗り切ってきた人たちが利用して初めて意味を持ってきます。
筆者の受験生時代にも、予備校のクラスメイトなどで、どう見ても勉強量が不十分なのに、そうした小技を一生懸命やっていた人が何人かいましたが、結局最終合格にたどり着けた人は一人もおらず、全員が診断士試験から不本意な形で撤退しています。
この対策の意味合いはあくまで「420点取れるかどうかの当落線上の人が、つまらない(=実力以外のファクターで)失点をして敗退することを防ぐ」ためのものであって、「400点しかとれない人がいろいろ勉強以外の対策をして420点にたどり着く」という対策ではないことを肝に銘じておくべきです。
過度に期待せず、しかし無視はしない ぐらいの距離感でやっておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
受験生各位のご健闘を祈念しております。