「観測員、敵艦ブリッジの座標をくれっ!」
「少佐!ダメです!粒子濃度が強すぎて大まかな方向しか。。。」
「了解した。護衛機、お前たちは下がれ。敵艦に接近、単機で突入後、離脱する。」
「少佐、ご武運を!」
「感謝する。貴様らも死ぬなよ。。。」
UC0079年12月某日、ソロモン陥落後のジオン防衛隊は消耗著しい自軍の戦力を鑑み、局面打開のための方策の一つとして、ベテランパイロットの搭乗する高速戦闘型機体による敵拠点または戦艦などの大型目標に対する一撃離脱戦法を繰り返すことで敵戦力の漸減を狙い、ア・バオア・クーへの防衛体制構築の時間を稼ぐことを試みた。ソーラ・レイやビク・ザム等の破壊力の高い兵器による敵部隊への打撃は、戦闘勝利後に占領または鹵獲したインフラや敵兵器の再利用が困難であるため、敵大型目標へのピンポイントな打撃で破壊を最小限にとどめ、敵軍のアセットを再利用したいというジオン首脳部の思惑もこの機体の短期間での建造を後押しした。
その作戦のために選定された機体はYMS-15「ギャン」の予備部品にMS-06R「ザク高機動型」の余剰となっていたバックパックを取り付けた急造品である。
大型のビームサーベルを運用すべく堅牢なフレームを備えたギャンの腕部は大型の砲弾を扱う対艦ライフルの扱いも可能と判断され、一方で剣技の踏み込みに耐える堅牢な構造の脚部は高速な空間戦闘にはデッドウェイトとなると判断されたため、グラナダの開発工廠から持ち込まれた出所の怪しい機体の脚部を移植することで賄われた。ギャンが頭頂部を前面として敵戦力に突入する際、当機の肩部装甲は対空機銃などの弾丸に対して避弾経始の効果を持つ形状をしていたこともメリットと言える。
いろいろな余剰部品の寄せ集めであるいわばキメラのようなこの機体は、急造であるためにバランス調整もままならず、1回の出撃ごとに右上腕部の駆動系を大幅に再調整しなければならなくなるという欠点を抱えていたが、現場の技師たちは「もうこの戦争は長くは続かない」という諦観のもと、割り切った運用が為された。
ミノフスキー粒子散布下の戦闘は目視照準に大幅に依存するため、短時間の戦闘行為を前提とするこの機体には、その目視照準を狂わせる意図でスプリンター迷彩が施された。瞬間的に機体の位置や方向を誤認させるという目的にはこの対策は十分に効果を発揮し、結果的に2回の出撃でサラミス艦2隻大破という戦果を上げることとなったのである。(MS IGLOO第792話「中二病は出社拒否に陥る」)
なんていう中二病的な妄想を頭の中でリピートしながら、昨年からちまちま作り続けていたギャンがやっと完成です。
今回はじめての試みとしてデジタル迷彩塗装をやってみました。
マスキングのツールとして使ったのはHIQPARTSのドット迷彩柄マスキングテープ(S)。
全部貼るのに5時間ぐらいかかってます。
色選びについてはちょっとだけ「裏切り」が入ったほうが個性が際立つと考え、今回は指先をオレンジ色で塗ってみた。
そのままでは06Rのバックパックとギャン本体の一体感が今ひとつ出なかったので、ギャンの肩から動力パイプを生やして、バックパックとつないでみた。
あとは、射撃用の補助センサーとして左胸上部にサブセンサーをでっち上げ。ギャンのモノアイがフォローする距離ってあくまでビームサーベルで戦うぐらいしか無さそうだったので、射撃用としてちょっと足してみた。
全身にスジボリなども入れているんだけど、デジタル迷彩のインパクトが強すぎて目立たなかった。
やらなくてよかったかもしれん。
てなわけで完成。
さー次はヘイスティかなあ。